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コンピュータ支援エンジニアリング向け Google Cloud HPC: 設計とシミュレーションのワークフローを高速化

※この投稿は米国時間 2024 年 1 月 18 日に、Google Cloud blog に投稿されたものの抄訳です。

エンジニアリングや設計に携わるチームは、昨今の競争環境に身を置くなかで、迅速な革新、製品のパフォーマンス向上、製品化までの時間短縮を求められており、そのプレッシャーが高まっています。コンピュータ支援エンジニアリング(CAE)はこうした課題に対処するために不可欠なツールであり、仮想的に設計をシミュレーション、分析、最適化できるようにエンジニアを支援することで、費用のかかる物理プロトタイプの必要性を減らし、開発サイクルを短縮することができます。

多くの CAE ワークフローは、大量の計算リソースを必要とします。各組織はハイ パフォーマンス コンピューティング(HPC)を使用して、複雑なシミュレーションや大規模なデータセットを処理しています。過去には、これを実現するために専用の HPC 環境をオンプレミスで運用する必要がありましたが、現在は HPC ワークロードに対応するクラウドの機能が劇的に進歩しており、エンジニアリング チームはクラウドのパフォーマンス、スケーラビリティ、柔軟性の恩恵を受けられるようになっています。

Google は、主要な CAE アプリケーションを効率的に実行するために、適切なテクノロジーを統合したコンピュータ支援エンジニアリング ソリューションを開発しました。Google Cloud の HPC 機能を活用しているこのソリューションは、CAE ワークフローのシミュレーションと分析のステップ向けに設計されています。

CAE のシミュレーションと分析によるイノベーションの創出

コンピュータ支援エンジニアリングは、エンジニアリングと設計のプロセスに革命をもたらしました。設計を仮想的にシミュレーション、分析、最適化できるようになったことで、物理プロトタイプへの依存を低減して、製品開発サイクルを加速させています。CAE には幅広いアプリケーションが搭載されており、それぞれが次のような特定のエンジニアリング課題に対応しています。

構造解析により、エンジニアはさまざまな荷重や条件下での構造物の強度、剛性、変形を評価し、設計の完全性と安全性を確保できます。流体力学により、エンジニアは物体の周囲の流体の流れをシミュレーションし、空力性能の最適化や伝熱特性の分析ができます。熱解析は、コンポーネント内およびその周囲の伝熱をシミュレーションし、熱効率を確保し、過熱を防ぎます。電磁界解析は、アンテナ、RF 回路、電磁両立性の設計にとって重要となる電磁場と、電磁場と物質との相互作用をシミュレーションします。

以上のユースケースは他の多くのユースケースとともに CAE のバックボーンを形成しており、設計を最適化し、プロダクトのパフォーマンスと安全性を確保するための強力なツールをエンジニアに提供しています。工学的課題がますます複雑になり、急速なイノベーションが求められるようになっていることもあり、CAE はエンジニアリングにおいて重要なツールとなっています。

上の図は、製品開発ライフサイクルにおける一般的なワークフローを示しています。

構想: 構想段階では、エンジニアはコンピュータ支援設計(CAD)ツールを使用して、設計コンセプトを生成および探索します。設計: 設計段階では、エンジニアは CAD ツールを使用して、設計を練り、最適化します。開発: 開発段階では、エンジニアは CAE ツールを使用して、プロトタイプを作成し、検証段階に含まれる方法を使用してプロトタイプをテストします。検証: 検証段階では、エンジニアは CAE ツールを使用して、必要なパフォーマンスと安全性の基準を満たす設計であるかを検証します。製造: 製造段階では、CAD 設計をさまざまな製造ワークフローへの入力として使用することで、設計および検証されたデジタル成果物を現実世界に投入します。

検証段階のシミュレーションと分析は、ハイ パフォーマンス コンピューティングに大きく依存しています。CAE ワークフローで HPC を容易に利用できるようにすれば、エンジニアが検証ステップをより迅速に実行したり、より忠実なモデルを実行したりできるようになるため、全体的に生産性が向上し、より良い製品を生み出すことができます。

Google Cloud HPC: CAE ワークフローを加速させる強力なソリューション

Google Cloud は、地球規模で弾力性と柔軟性に優れたクラウドの利点と、CAE シミュレーションと分析に必要な HPC を組み合わせた HPC 環境を構築できるようお客様を支援しています。

CAE ワークフローで簡単に使用できるようにするため、Google Cloud ではこうした計算集約型ワークロードの要件を満たす適切なクラウド コンポーネントを組み合わせています。このソリューションの設計は、最新の Intel Xeon プロセッサをベースとした Google Cloud の H3 および C3 ファミリーの VM を中心としています。これらのプロセッサは、高いメモリ帯域幅とバランスの取れたメモリ / FLOP 比をサポートしており、CAE ワークロードに最適です。このソリューションなら、密結合された MPI アプリケーションと、最大 16 GB/コアのメモリ集中型のワークロードを処理できます。また、通常の I/O 要件と厳しい I/O 要件の両方に対処するさまざまなストレージ ソリューションも含まれています。リソース管理については、SchedMD の Slurm や Altair の PBS Professional などのスケジューラをサポートしています。

CAE リファレンス アーキテクチャ ブループリントは、Ansys Fluent、Ansys Mechanical、Ansys LS-DYNA、Siemens Simcenter STAR-CCM+、Altair Radioss、OpenFOAM などの主要な CAE アプリケーションと互換性があり、優れたパフォーマンスを提供することがすでに検証されています。ソリューションのアーキテクチャは次のとおりです。

CAE リファレンス アーキテクチャのブループリントに加え、バイナリまたはソースからの特定の CAE ソフトウェア向けのカスタマイズを示すブループリントもあります。

OpenFOAMSiemens Star-CCM+Ansys Fluent

要求の厳しい CAE ワークロードに対応するパフォーマンス

Google CAE ソリューションは、インテルの最新世代 Xeon プロセッサ(Intel Sapphire Rapids)を活用しており、コアごとのパフォーマンスが高く設定されており、コアごとにライセンスが必要なアプリケーションに最適です。

多くの主要な CAE アプリケーションについて、Google の H3 VM と、前世代の Intel ベースの VM である C2 のパフォーマンスを比較しました。主要な CAE アプリケーションである Ansys Fluent 2022 R2、Siemens Simcenter STAR-CCM+ 18.02.008、および Altair Radioss 2022.3 はそれぞれ、H3 VM では C2 VM よりも 2.8 倍、2.9 倍、および 2.6 倍高速に実行されます。

エンジニアは、より多くの計算リソースを 1 つのシミュレーションに割り当てることで、設計検証の結果をより迅速に得ることができます。以下のグラフは、1 億 4,000 万個のセルで F1 RaceCar CFD ベンチマークを実行した Ansys Fluent のパフォーマンスの向上を示しています。H3 VM の数を 2 から 4 に倍増すると、速度も 2 倍になります。Ansys Fluent の場合、1,408 個のコアに相当する 16 機まで VM を増やしても、これに対応する高速化が約 90% の並列効率で達成されます。

Cloud HPC Toolkit ブループリントによる CAE デプロイの合理化

お客様やシステム インテグレータの皆様が CAE ソリューションを簡単にカスタマイズしてデプロイできるように、ブループリントとなる汎用 CAE リファレンス アーキテクチャを Infrastructure as Code(IaC)として公開しました。Google のオープンソースの Cloud HPC Toolkit と組み合わせてこのブループリントを使用すると、Google Cloud に CAE リファレンス アーキテクチャを簡単にデプロイできます。

CAE ソリューションは、Ansys Fluent、Ansys Mechanical、Ansys LS-DYNA、Siemens Simcenter STAR-CCM+、Altair Radioss、OpenFOAM などの主要な CAE アプリケーションでテストされています。

Google Cloud でのコンピュータ支援エンジニアリング ワークロードの実行に関する技術リファレンス ガイドには、ソリューションのコンポーネント、詳細なベンチマーク データ、利用開始のためのリソースに関する詳細情報が記載されています。

まとめ

Google Cloud は、要求の厳しい CAE ワークフローに対し、強力かつスケーラブルな HPC ソリューションを提供しています。Google の CAE ソリューションを使用することで、CAE の利用を簡単に始められるとともに、高速化されたシミュレーションと分析がもたらす変革の力を容易にご体験いただけます。

HPC ソリューションの詳細については、HPC ウェブサイトでご確認いただけます。また、Cloud HPC Toolkit のドキュメントを参照して、今すぐ HPC ソリューションの可能性をご検討ください。Cloud HPC Toolkit の活用に関して、サポートから皆様のご意見をぜひお聞かせください。詳しくはお問い合わせください

-Google Cloud、クラウド ML コンピューティング サービス担当シニア HPC テクノロジスト Felix Schürmann

-Google Cloud、HPC および AI インフラストラクチャ担当ソリューション マネージャー Wyatt Gorman

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